しょっぱなから異世界転生チートアニメみたいなタイトルになってしまった。
【そもそも異世界転生モノ、痛々しいよ!!!】
異世界転生モノが好きで楽しんでいる人たち、今振り上げたその心のこぶしを一旦下ろしてほしい。これは記事タイトルを回収するうえで大事な僕の過去の話なので、少しだけ耐えてほしい(マジでこれからすごい色々悪口みたいな事というか直球悪口いうけど、神に誓ってタイトル回収するから!!!!)
さて記事タイトルどおり、自分はもともと異世界転生チートアニメを見下している側の人間だった。それらの原作小説を生み出すWeb小説連載サイト「小説家になろう」「アルファポリス」などの人気連載小説デイリーランキングを(主にお手軽な読書欲を満たす目的で)ザッと見渡しては「どれもこれもタイトルがなげえ」「全部似たようなのばっかじゃん」「設定とストーリー運びが主人公≒読者を気持ちよくさせるやつばっかで読んでいて痛々しい」と共感性羞恥に苛まれながら文句を言う日々。そしてその中から少しでも(自分基準で)マシだと思える良作を苦労して発掘し「ああこれは良さそうだ」とやっといい作品にめぐりあえたかと思えば突然作者からの「連載休止のおしらせ」…(があればまだマシな方で、大体それらの作品は自然消滅的に更新がされなくなる)
疲れた!!!!もう疲れた!!!!!!無理して良作探すのやめよう!!!!もうそういうサイトみなけりゃいい!!!!とかなんとか考えている内に就職したり引っ越ししたり(いわゆる人生というやつ)で生活は忙しくなり、自然と自分といわゆる「なろう系」小説との距離は遠ざかっていった。これであれらを視界に入れることも今後ないだろう…そう思っていた数年前の自分は知るよしもなかった。令和6年(2024年)現在、押し寄せるように異世界転生チートモノ作品が巷を席捲し、コミカライズ化され、アニメ化されたそれらが、ネトフリやアマプラのおすすめアニメ一覧にズラリと並ぶようになっている現在(未来)を…。
そんな折、自分の人生に大きな変化が訪れた。
【唐突に文字が読めなくなり、漫画もアニメもまともにみられなくなった】
本当に唐突に、そうなった。職場でパニック発作を起こしてしまったのだ。元々自分には発達障害がある。苦手なことが人より多いし社会で生きづらい(うまく適応できない)ので、就職してからパワハラにあったり人間関係に悩んだり仕事がうまくいかなかったりした。それでもコツコツ(しかし確実に心と体を壊しながら)4年ほど勤めたが、ある日職場でパニック発作を何度も起こすようになり、ついには会社にいけなくなった。会社に勤めながら心療内科にも通っていたし、カウンセリングにも通っていたが限界がきてしまったのだ。そのまま休職に入ったが、会社との定期的なやりとりが苦痛で仕方がなく、契約社員だったので休職中の雇用契約更新のタイミングで自ら会社を辞めた。傷病手当で生活をしながら家に引きこもった。外に出られなくなった。家の中でも息をすることができず、めちゃくちゃに苦しんだ。それが1年半くらい前の話で、今も相変わらず家の中に引きこもっているが、福祉に繋がったり周りから助けられたりしながらなんとか生きている。確実に減っていく貯金におびえる日々ではあるけれど、まあなんとか「息はできる」し軽い内容のアニメやドラマ、漫画などは読めるようになった(この間は久しぶりに一冊の本を読み切ることができた、快挙!)でも相変わらず長い文章を読むことは苦痛だし、なんだか内容も頭にはいってこない。アニメや漫画、映画なども体調が相当にいい日でないとみられない。
そんなときに気まぐれに観たのが、いわゆる「異世界転生チートアニメ」だった。
【これくらいの作品ならみられるかな】
作品を作っているクリエイターさん達にはド失礼極まりないのだが、そんな気持ちで長らく遠ざかっていた「異世界転生チートアニメ」を、ある日から観始めた。
自分は一人暮らしなのだが、食事中なにか映像を垂れ流していないとごはんが食べられないのだ(これは自分が服用している発達障害の薬の副作用で、自分には食欲がほとんどなく、なにかをしながらでないと途中で食べることに飽きてしまうことに起因している)そういう時には「今まで何度もみて内容を知っている映画」とか「すでに見たことのある話数の多い昔のドラマ」をローテーションでみていたのだが、段々とそれらのストックも尽きてしまった。加えて、少し「新しいもの」に触れてみたい気持ちもあった。異世界転生チートアニメの構造は大体知っていたし、その上で知らない作品をみてみようかな…そしたら「よく知っているありきたりな流れ」という安心感と「みたことのない新しいキャラクター達」という新鮮さを同時に味わえるかもしれない。そんな気持ちだった。同時に「今の自分には深いストーリーと登場人物の心の機微を描いた作品を鑑賞する脳みそのキャパはないから、なろう系みたいに中身のないアニメならその辺ちょうどいいんじゃね?」みたいな気持ちもあった(どちらかというとこちらが本音)(本当にごめんなさい)(今はそう思ってないです)(いやまだ少し思ってるかも)(…)
ね!!!!!まあね!!!!とにかく観始めたんですよ。そして気づく。
【やっぱ異世界転生チートアニメって、中身ねえな~!!!!!!】
はいごめんなさい!!!!!!!!!!ここまで引っ張っといて結局そうなっちゃった!!!!!!!!だって本当に中身ないんだもん!!!!!!!!!全部同じようなのばっかなんだもん!!!!!!!!!!大体主人公が現世で車にひかれて死んで転生したらなんかよーわからんスキルもってて実はそれが便利なスキルでなんやかんや上手く事が運んで可愛いヒロイン(またはメンズ)(もしくはマジカル生物)によーわからんけど最初から好意持たれてるしなんかどこでもドアみたいに特殊スキルで温泉だして「は~いい湯だわ~」とかやってたり美味い飯くってたり、ときには主人公の転生後が自販機とか剣とかスライムとかもう人ですらなかったりしても異世界でめちゃ強くなって異世界の現地の人とか人外とかに崇められたり感心されて一目置かれて「たはは~また自分なんかやっちゃいました?(笑顔)」なハッピーラッキー異世界人生最高じゃん!!!!ってかんじなんだもん!!!!!!!!!!そこに異論はないだろ?!?!!!!!(あるよ)
まあでもなんやかんやで「何も考えたくない」「飯食いながら片手間にみるのにちょうどいい」みたいな理由で異世界転生チートアニメの世界にはいっていったわけです。
で、気づいた。
【異世界転生チートアニメの主人公、実はめちゃめちゃ努力してねえか?!】
まあ全員じゃないけど、最近の異世界転生チートアニメの主人公って結構コツコツ努力してる。「いきなり異世界転生しちゃって変なスキル持ちだけど、これ意外と使えるんじゃね?いろいろ試してみよう!」ってその辺の雑魚モンスターコツコツ狩ったり、異世界の文化を学んだり、まあチートスキルの助けやご都合ラッキー展開は多々あるものの、主人公たちは結構な確率で「コツコツなにかを継続すること」をしている。…これって現実世界の自分たちがやろうとしたら結構大変じゃないか?「英語を勉強しよう」「なにかの資格をとろう」そう思いながらやってこなかった事、少なくとも自分はいっぱいある。まあファンタジー世界でのレベルアップの楽しさと現実の資格勉強のつまらなさを比べたら前者のほうが圧倒的に楽だが、彼らも全く努力していないわけではないのだ(まあ全然努力してなくて最初から強くて性格も謙虚でハーレム状態みたいな作品もあるが)その先に約束されたパラダイスな展開が待っていたとしても(そして主な視聴者層はそれを心待ちにしているわけだが)いきなり異世界転生して先の見えない中で生死の境をさまよいながらコツコツ何かを継続するなんて、なかなかできる事じゃないよ。そう思ったとき、何か自分のなかで異世界転生チートアニメに対する印象が変わった気がした。
【結局異世界でも現実でもコツコツ努力ができるやつが一番強い】
これに尽きるのだ。いくらチートスキルをもっていても「異世界転生チートアニメ」という物語の必然性によりハッピーエンドが約束されていても、彼ら主人公たちは必ず努力のフェーズを経ているのだ(すべての作品がそうではないが以下略)アニメの視聴者は物語の先にハッピーラッキーパラダイスがあるとわかっていても、主人公たちはそうじゃない。繰り返しになるが、彼らはいきなり異世界に放り出され今まで自分の人生で培ってきたものすべてから切り離された状態で「これが異世界転生ってやつか~…まあでも、今の自分がもってるスキルで、とりあえずがんばってみますか!」とめちゃくちゃポジティブなのである。バイタリティ激つよである。そして努力するのである。「ご都合チートスキル」「異世界転生あるある」という概念に惑わされ、自分にはみえていなかったのだ。彼らもそれなりに努力してハッピーな異世界ライフを送っている、という事実が(もちろん例外もある以下略)
【おわりに】
まあそんな感じで「フィクションの物語から何か知見を得る」という事を、異世界転生チートアニメは僕にリハビリ的に再度教えてくれた。今でも僕の中でコンテンツとしての異世界転生チートアニメ(やその原作小説・コミカライズ)の位置はやや低いが(だってチートはチートだからな)お陰でまた映像作品がみられるようになった。ここからまた社会派だったりシリアスな作品に没入できるようになっていけるかな、と小さな希望も抱きはじめている。そしてこれは蛇足かもしれないし周知の事実かもしれないが、異世界転生チート作品は一定の層に向けた「救い」で「祈り」なんだと思う。現実で苦労していたり辛いから、アニメの世界の中だけでも甘い夢をみさせてくれよ、疲れてんだよ、みたいな社会の人たちの癒しになっているんだろう。実際僕も変な形ではあるもののさんざん馬鹿にしていたそれらに「救われた」わけだし。ここまで書いてて気づいたのだが、僕はまだ心のどこかで異世界転生チート作品をやや見下している。でもそれは作品に関わるクリエイターさん達や原作者さん達、そのファンの人たちにとても失礼だし酷い事だ。心の中で思っていても口に出したり文章として書き起こすことで傷つける人たちは絶対いる。だからこの記事を書くかギリギリまで悩んだ。でも、自分が馬鹿にしていたものに救われる、という経験をした事を忘れないでおきたかった。数々の暴言をごめんなさい!そしてありがとうございました。でも行く先々で現地妻つくってる精霊幻想記は本当にひd…ここまでヒロイン大渋滞だと誰と結ばれるのか興味ありすぎるから二期もみるぜ。おしまい。